推薦、総合型選抜(AO)狙いは危険…な理由

はじめに

高校の先生から「受からない!」「入試はかなり厳しい!」とやたら言われて、不安になっている人も多いと思います。 中途半端な勉強をして受かろうとするから「難しい」のです。高校の先生が日常的に見ている何百人もの生徒は、普通の高校ならば全員が全員、やる気満々でバリバリ頑張っている生徒ではないのです。そういった生徒を分母として合格者を考えているから「受からないよ!」となるのです。 確かに、毎年、中途半端な勉強しかしなかった受験生は結局ほとんど受かりません。中途半端にもレベルがあるのですが、受かりそうな所まで来る「おしい」中途半端ゾーンは65%から75%の結果を出す生徒です。このレベルの生徒は勉強のセンスがあって受かる人もいますが、すべる人もいます。なので、受かったり受からなかったり…で確実に受かるレベルではありません。 一方で、毎年、しっかりと確実な勉強をした生徒は、ちゃんと受かります。そういった生徒は、大学の合格水準が厳しくなっても、どの年でも関係なく受かるのです。 その「しっかりと確実な勉強」の水準が、①長文の復習テスト、②社会の復習テスト、②単熟語一斉テストで80%の結果を出す!ということなのです。これをしっかりと個人成績表で確認しながら頑張って行ってください。

推薦とAOが危険な理由は6つ

① 大学3年の就職活動で不利になる可能性

これは、藤井セミナー出身のOBで、超大手企業の人事部にいる数名から聞いた話です。関関同立の学生なら大手企業からの学歴フィルターにはかからないけど、それは一般入試組の話 だと言ってました。関関同立クラスでも「AOや推薦は取りたくない!」と考えている大手企業が多い…という事らしいのです。   ● 理由の1つは『勉強が出来なさすぎる…』と言ってました。平均で偏差値が15から20ぐらい下だという話もあります。仕事をするには、いろいろ覚えて学習をしないと仕事ができません。なので、基本的な仕事ができるかどうかは、学歴がかなり大きな指標になる…のに、試験で大学に受かってないので、その大学の学力があるかどうかわからないと言ってました。 関学に一般入試で合格したK君が「指定校推薦の子、英語の授業でavailable の意味がわからなくて授業が中断した」とか、同じく関学のG君は「指定校の子がunable の意味がわかってなかった」とか、同志社に一般入試で受かった I 君は「指定校できている子、 express を急行という意味しか知らなくてびっくりした」とか、同志社のFさんが「推薦の子が、 exactlyを読めないし意味もわかってなかった…」とか、もう沢山聞きます…。あと、就活の時のSPIの試験で英語の部門が全然できないということもよく聞きます。   ● 理由の2つ目は『旧帝大レベル以外のAOは、受験から逃げた選択がほとんどでは??』…と思われています。つまり、受験勉強で受かる自信がないのでAOでいちかばちかで合格したと思われているのです。つまり「同志社です」とか「関学です」と言っても、就活の現場では相手企業からは「同志社」とか「関学」と思われていないということです。 ただ、旧帝大レベルの推薦やAOは例外だそうです。イメージは、長田高校や神戸高校で5段階評定で4.5ぐらいあって、九州大学や北海道大学や神戸大学…というイメージです。 また、これは神戸の私立高校に通う男子生徒のお母様から聞いた話です。「先日、〇〇〇大学の教授(関関同立の1つ)が高校に入学説明会に来てくれて、その先生が「推薦やAOで入ると、就職活動で不利になることもあるので、しっかりと一般入試で突破してください」と、おっしゃっていました」…と、その入試説明会での話を教えてくれました。かなり良心的な大学の先生です。 実際は、どの企業が推薦やAOを取らないとか、取りたくないとか、気にしてないとか…、学生側からはわかりません。どの企業もそんなことは絶対に公にしないので、表向きでは区別はしてないからなのです。だから、逆に推薦で入った大学生にとってはやっかいな事になるのです。(推薦は取らない…と言ってくれたら、その企業は避けられるからです)

② チャンスは1回、しかももっと上の大学に行ける可能性もあったのに

一般入試で関関同立に合格する生徒のほとんどは、12月から1月ぐらいにグンと成績が伸びます。藤井セミナーでも、高3の春先では近大や神戸学院を目指していたような生徒が、やる気を出して結果的に関学や同志社に合格するケースも多数あります。そうなると、こんな時期から産近甲龍などの総合型選抜(旧AO)を目指してたらもったいないと思いませんか?基本的には、総合型選抜(AO)は第一志望として合格したらそこに入学することを義務付けられます。なら、これから入試での実力が伸びて、もっと上を目指せるはずの受験生が、9月ぐらいで中途半端な大学で終わってしまう…という事にもなるのです。 大学3年の就職活動では産近甲龍の学生は大手企業からは学歴フィルターがかかり、かなり落ち込むことになります。 しかも!、総合型選抜のチャンスは1回のみ。1回で1回の結果を出す必要があります。「俺、同志社の学生!」と言ってても、4学部で落ちて1学部で受かっているケースも多いのです。だから、チャンスと確率と公平性の3つから考えたら、どう考えても一般入試で受かる方が確実に難関大学に合格できます。  

③ 募集人数が少なすぎる

募集人数が少ないと、目標や合否の目安をたてるのが難しくなります。つまり「出たとこ勝負」の世界なのです。例えば、関西学院大学で言うと、2023 年の一般選抜(一般入試)での合格者は1万8081人です。でも、同志社や神戸大学にも受かったら、ここから抜けていきます。一方、関学の総合選抜(AO)の4パターンからスポーツ推薦を除いたら、合格者は269人です。倍率から考えたら、確かに総合選抜(AO)の方がやや倍率が低くて入り易そうに見えるのですが、募集人数が少ない分「特殊能力を持った凄い奴」がいる可能性があります。また、これがダメだと後から立て直しができなくなります。  

④ 単なる数字だけ見たら、一般入試の方が受かりやすい?

関学を例にすると、関学のパンフレットに5学部併願者の合格率は60.3%と出ていました。一方、スポーツ推薦を除いた総合選抜(AO)は合格者が269人で志願者が472人なので、合格率は56.9%です。ただ、総合選抜の場合は合格者も志願者もかなり少ないので、その中には凄い奴がいる可能性も高くなります。そもそも、すごい奴でないと、総合選抜に自信を持ってやってこないと思います。  

⑤ 合否は主観的、努力が100%確実に報われない

小論文や面接やプレゼンが中心だと、「運、不運」が常についてまわります。すくなくとも全員がしっかりと準備をしているので、受験者全員が自信を持っています。でも、そこには明確な基準や目標値もありません。一方で一般入試の場合は明確な基準や目標値があり、「できる生徒」は、いつ試験を受けても常にできるのです。「再現性」があるかないか…とも言えます。そんな不確実なものに時間をかけて期待するのは、危険でしかありません。下の《今でも覚えている実例を4つ》を参考にしてください。  

⑥ ダメだった時のダメージが大きすぎる

毎年、AOを受ける生徒には「ダメだった時のために、ちゃんと受験勉強も継続するねんで!」と言ってます。生徒も「わかりました!」と言いますが、今まで、受験勉強を継続した生徒はいません…。やっぱり、心のどこかで期待するのでしょう。というのはAO受験者はしっかりと準備をしているので誰もが自信を持っています。でも、判定は明確な数値的な基準ではなく、どう考えても主観的です。しっかり準備して自信がある分、夏休みはまるまる受験勉強をせずに、小論やプレゼンの準備だけ…に終わる生徒がほとんどというか、全員なのです。それでも受かればいいのですが、それで滑ったら少なくとも2か月半は遅れます。夏休み前からのAOの準備で1か月半と、自信があっただけに滑ったショックでの放心状態の1か月で、2カ月半です。 「AOなんて受けずに、一般入試一本で頑張ってたら、関関同立に行けてたのに…」という生徒がたくさんいます。  

今でも覚えている実例を4つ

① 高校の先生も太鼓判を押す、できる高校!の女子が、AOで落ちて、結局、浪人… 以前、神戸市の旧学区制ではトップの、神戸大学にもたくさん受かる県立高校の女子がいました。彼女は生徒会もしていて、学校の成績もよくて、はきはきしてて、頭もよくて、やる気もある…という生徒です。この賢い真面目な女子が、関学のAOにチャレンジしました。まじめな子だったので、しっかりと夏休みも受験勉強を継続していると思ってたら、やっぱり一般入試の勉強はやってなかった…。高校の先生からは「絶対に受かるやろ」と言われていたらしいのですが、高校側の予想に反して関学のAO入試に落ちてしまいます。やっぱりショックでそこから1か月ぐらいは立ち直れずボーッとしてました。そしてなんとか勉強を再開しても間に合わず、浪人をしてしまいました。一方、同じ高校の硬式テニス部の女子のAさんは、その高校の最下位クラスの成績なのでAOにチャレンジできるほどの評定もなく、関関同立に行ける選択肢は一般入試だけ。彼女は日本史はむちゃくちゃ頑張って、その「できる高校」の中でも部活引退後は日本史は定期テストで1位を取り出して、結局、関学に一般入試で合格してきます。   ② 偏差値72の高校の生徒で全国大会出場の男子も、AOで落ちて、浪人… 神戸市ではないのですが、高校偏差値が72の県立高校の男子が、放送部で全国大会に出て、そして入試は関学のAOを目指しました。彼も、かなりしっかりしていて、準備もちゃんとしていたのですが、なぜかAO試験に落ちてしまいます。高校の先生は怒り狂ってたらしいです…。でも、合否の決定権は大学になるので仕方ないですが…。彼も、夏休みはAOの準備だけしかしておらず、滑ったショックでしばらくは勉強できず、浪人をしてしまいました…。 AO入試は、受験する人はみんなしっかりと準備をしてくるので、みんな受験前には自信を持っているのです。客観的で数値的な目標値も基準も無いのでなおさらです。そして自信を持って合格を期待してしまったら、やっぱりどれだけしっかりしている生徒でも、受験勉強はしなくなってしまいます。そして滑ってしまったら、もう取り返しがつかない…ということになります。   ③ 偏差値49の高校のサッカー部男子が、関学のAOに合格! 次は、合格した事例です。彼は、勉強はできない高校の生徒でしたが、いい子(いい奴)でした。明るくて、典型的な部活をやってる男子でした。ただ、英語はできず、そんなに熱心に勉強もしていませんでした。ここから先は、この生徒の友人達から聞いた話です。実は、彼の家はお金持ちで、もう1つの塾も掛け持ちしていて、AO対策の塾にも通っていました。そこは10か月ぐらいで100万円以上はかかるそうです。そして、何かの企画を一緒に仕上げる…というオプションを選ぶたびに、また何十万円か追加料金がかかるそうです。彼の友人達のイメージでは、AO対策の塾にお金を出して、何かをしてもらって、それを自分がやったことのようにして発表なり面接なりをこなして合格をした…と言ってました。ただ、彼は本当に「いい奴」です。だから面接でも、すごく「いい奴」というのは伝わると思います。でも、この生徒は勉強ができなかったので、同じ学年の①の女子(関学にAOで滑った女子)は、「もう、関学は受けない!同志社を目指す!」と言って、彼女は浪人をして同志社に行きました。またこの学年の浪人生はほとんど同志社狙いに変えてしまいました。 最近、ある女子高の生徒から聞いたのですが、その高校では総合選抜(AO入試)の事を「裏口入学」と呼んでいるそうです。理由は、AO専門の予備校に100万円以上のお金を出して、何かをするたびにオプション価格で料金をはらっていろいろな事をしてもらって、それを自分がしたかのようにして大学に合格していくという実態があるからでしょう。これは、アメリカの入試でも同じような実態があって、お金持ちの方が、たとえ勉強ができなくても色々な経験を積めるので有利になるシステムだとも言われています。 ①②の生徒がAOで滑り、③の生徒がAOで合格しているように、合否に明確な基準がなく運しだい…というような試験です。なので、ここに賭けるのは危険すぎるのです。その点、一般入試は目標値と基準が明確で、やれば誰でも合格できます。しかも、チャンスは数回あるのです。   ④偏差値48の県立高校のトップは甲南大学、最下層の野球部の男子は関学に現役合格! 神戸市のある高校の指定校推薦は、一番上で甲南大学です。学年で「できる」生徒が甲南大学に指定校推薦に決まります。この年も、真面目でこの高校の中では「できる」生徒が甲南大学の指定校推薦に決まりました。一方、野球部の「勉強ができない」生徒は、関学を目指して英語から勉強を頑張って、部活を引退してからは日本史を必死で詰めていき偏差値も70ぐらいになって、結局、一般入試で関学に合格しました。つまり、高校内のトップの真面目でできる生徒が指定校推薦で甲南大学、高校内では「できない」野球部の子が関学に受かったという事です。 このような例はいくらでもあるので、この時期に産近甲龍を目指していては本当にもったいない! この野球部の子が関学に受かった時には、甲南に決まってるその高校のトップだった真面目な子は、露骨に悔しがっていたそうです…。 こんな事は毎年のように起こっています。たぶん、早く決まるし、受験勉強をしなくてもいいし…という心理から総合選抜(AO)や、志望校以外の推薦に走るのだと思いますが、『慌てる乞食は貰いが少ない』という諺もあります。そこで、不合格となれば、もう取り返しがつかないので、こうのような評価があいまいで目標値もたてられないシステム、つまり主観的な判断で「運」に左右されるようなAO入試に走るのは辞める方が賢明です。

結論

総合選抜(旧AO)…旧帝大以外はやめるべき。 理由 ➡ ① 目標も立てられない確実でないものに掛けるのは非常に危険なうえ、受かっても就活では不利 だし、滑ったら一般入試に向けては時間的に取り返しがつかない。 ②一般入試狙いなら、秋から冬にかけてどんどん実力が伸びるので、夏前にAOで考えていた大 学よりもっとレベルの高い大学に行けるチャンスがある。 指定校推薦… ① 同志社、関学の経済、商、法ならよいと思う。文と社は就活も極端に悪いのでやめるべき。 ただ、指定校推薦で関学や同志社を狙えるギリギリは4.3ぐらいだと思います(これは高校にもよります)。 なので高3の1学期末で4.3以上を取れそうなら、関学同志社の指定校推薦狙いなら有かもしれませんが、 そうでなかったら、もう自分の人生をかけて、一般入試で合格していきましょう! ② 志望校以外の指定校推薦は絶対にやめるべき。 今頑張っている生徒は、秋から冬にかけて大きく実力が伸びるのでGWぐらいに「この大学くらいかな…」 と思っていても、実際には関関同立に合格する生徒がたくさん出てきます。だから、チャレンジもせず に早々と決めてしまったら、これから継続していく人生的に考えたら、もったいなさ過ぎます。
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